近年、アニサキス症が増加傾向にあるという。
厚生労働省の開示情報によると、過去三年間でアニサキス症発生件数が倍程度に激増している。
平成26年 79件
平成27年 133件
平成28年 126件
(厚生労働省HPより引用。クリックで外部サイトへジャンプ : 厚生労働省HP)
特に、平成26年から平成27年にかけて倍増しており、その後は横ばい傾向にある。
また、近年では渡辺直美や庄司智春などの、芸能人もアニサキス症で病院のお世話になったと告白しており、他人事ではない病気となっているようです。
アニサキス症とはどんな病気なのか。原因や対策などもまとめました。
原因
アニサキス症は、寄生虫のアニサキス幼虫を飲食などで、体内に取り込むことで発症する食中毒です。
アニサキス幼虫とは、長さ2~3cm、幅は0.5~1mm程度の白い糸のような形の寄生虫です。
この大きさなので、もちろん人間の目でも、目視することが十分可能です。
このアニサキス幼虫が飲食で体内に侵入すると、胃の壁や腸管にへばりつく(かじりつく)ことによって、激痛や嘔吐を発生させます。
近年の増加
近年のアニサキス症の原因は、物流システムの発達にあるのではないかと言われています。
後で記載する予防方法にも書きましたが、アニサキスはある温度以下で冷凍するか、火を通すことで死滅します。
しかし、物流システムの発展によりそれまで冷凍していた魚介類が、冷凍せずとも広範囲に運搬できるようになったからではないかと言われています。
アニサキス幼虫を持つ魚介類
アニサキス幼虫をもつ魚介類で、日本近海にいる種類は、実に160種類といわれています。
ほとんどの魚介類に、その可能性があると考えて間違いないでしょう。
アニサキス症に限らず、自然界で生息している魚の内臓にはほとんど何らかの寄生虫がいるのが普通です。
魚をさばいたことのある方ならご存知と思いますが、魚をさばくと内臓にはよく寄生虫がいるものです。
アニサキス症の症状
アニサキス症は、症状の種類により劇症型と緩和型に分けられます。
さらに、発症する部位の違いにより、胃アニサキス症および腸アニサキス症に分けられます。
緩和型の場合は、胃や腸の別に限らず、症状も穏やかで、無症状の方がほとんどです。
しかしながら、劇症型となるとアニサキス侵入から数時間から数日で、耐えられない激しい痛みと嘔吐や悪心に見舞われます。
また、それだけではなく摂取後にアニサキスアレルギーと呼ばれる蕁麻疹に見舞われる事もある。
これは、アニサキス自体がアレルゲンとなって、人体にアレルギー反応を起こさせた結果です。
国立感染症のHPの資料によると、このアニサキスアレルギーによって、アナフィラキシー症状を呈した症例も報告されているということです。
しかし、ほとんどの場合は、胃または腸アニサキス症ということです。
治療
一旦アニサキス症になってしまったら、どのような治療が行われるのでしょうか。
それぞれの場合によって以下に簡単に紹介します。
胃アニサキス症
胃アニサキス症の場合は、胃カメラを飲み、カメラで確認しながら、原因であるアニサキス幼虫を取り除きます。
腸アニサキス症
腸アニサキス症の場合は、対症療法を試み、場合によっては外科的に取り除きます。
予防方法
厚生労働省及び、国立感染症研究所が推奨する予防方法をまとめると以下の通りです。
端的に言うと、目視で確認し、冷凍と加熱で予防するというものです。
目視で確認する
アニサキス幼虫は、先に記載した通り目視で確認できる大きさがあります。
刺身などの生で魚を食べる際には、白い糸のようなものが付いていないか、目視で確認して食べましょう。
もともと、魚介類の内臓に寄生しているアニサキスですが、内臓の鮮度が落ちてくると、筋肉部分に移動してくるのです。
そのため、私たちの口に入る部位にアニサキスが移動している場合があるのです。
冷凍処理
冷凍処理については、-20度で24時間以上で感染性を失うと言われています。
アメリカのFDAやEUでも、温度と時間は違うが、一度冷凍処理をしてから食べる事を推奨しています。
しかし、-20度は一般家庭の冷凍庫では到底無理なレベルであるので、自宅の冷凍庫では実現できません。
出荷時に業者によりしっかりと冷凍処理されることが必要です。
加熱処理
加熱処理については、60度で1分以上の加熱で確実に感染が予防できます。
自宅で予防するには、この加熱処理が一番手ごろでしょう。
あとがき
生で魚を食べる文化がある日本人には難しいかもしれないが、魚介類は加熱し火を通した方が安全です。
どうしても生で食べる場合は、確実に冷凍されているものを選ぶか、新鮮なうちに内臓をさっさと取り除いてしまった方が良いでしょう。
上記の対策を確実に実施して、激痛をともなうアニサキス症はなりたくないものです。
また、もしアニサキス症になってしまったら、自己判断はせずに、すぐに病院に行った方がよいです。
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