増え続ける東京の地下水
もしも大災害等が発生した時に、自分の職場や家があるの地盤が大丈夫かどうか、誰でも気になった事が有ると思います。
実際に東京は埋立地なども多く、地盤が弱い所が多いと言われています。
よく言われるのが、地名に水や谷のような名前が付いている土地は、その昔に埋め立てて宅地とした土地だと言われており、例えば、築地は土地を築いたという意味で築地だと言われていたり、渋谷は昔は河川の多い谷だったなどと言われているのは多くの方が知っているところだと思います。
土地の水分を考えた時に、河川の埋め立てによるだけでなく、地下水も考慮しなければなりません。
かつて1960年代から1980年代近くまで、東京では、多くの地下水を建築や冷房の為に地下水をくみ上げて使用していました。
その結果、当時は過度の地下水のくみ上げによる地盤沈下が、各地で多発し、社会問題となったと言います。
その為、現在では環境省管轄により、地下水の揚水規制が制定され、規制されています。
しかし、80年以降に規制により増加した地下水は、一定のペースで増え続けており、現在では私たちの生活に悪影響を及ぼしていると言います。
築地の豊洲移転問題では、移転先の豊洲で地下水が建屋内で湧き出ている映像を見た方は多いのではないでしょうか。
武蔵野線 新小平駅 分断事件
電車に詳しい方たちには有名な事件です。
1991年 10月 11日、新小平駅にて駅舎が突然1.3mも盛り上がり、接続されていた線路と分断。
2か月の間、復旧工事が行われ、その間この区間は電車が通れない状態となりました。
この事件の前の9月から10月にかけて、台風が多く、雨量が通常より多くなっていました。
調査の結果、驚いたことに、雨量増加に伴う地下水の増加により、船が水上に浮いてしまうように、駅舎自体が地下水の浮力により持ち上げられてしまっていたことが判明しました。
それまで想定されてこなかった、地下水の浮力により、建物のような重量物が持ち上げられてしまうという事が、この事件で世間で広く認知されることとなりました。
JRによる地下水調査
その後、地下水による事故を起こさないため、JRによる各地での、地下水調査が実施されました。
すると各地で地下水の上昇がみられたようですが、特に上野駅と東京駅で想定していた範囲よりも地下水の上昇がみられ、このままいくと、新小平駅のように駅舎自体が浮力に耐えられず、持ち上がってしまうという事が判ったのです。
東京駅と上野駅は、言わずと知れた東京の巨大ターミナル駅。多くの地下鉄も乗り入れており、浮力に耐えられず、分断となれば影響規模は、甚大なものになります。
この東京駅と上野えきは特に地盤が弱いというイメージもなく、水に関係した地名もついていないため、土壌に水分が多いイメージは全くないと思います。
それにも関わらず、このような事が判明したのは、大変驚きます。
対応と現在の状況
上野駅
上野駅では、その後対策として大規模な工事が行われました。
地下水の浮力を抑えるために、地下4階になんと3万3000トンもの鉄板が敷かれ、浮力を抑える、オモリとして機能させています。
東京駅
東京駅は地下三階程度まで、地下水位が上がってきてきるといます。
東京駅では、上野の様に重りを置いただけでは、浮力を十分に抑えられないという事で、1999年に、新たに1本あたり100トンの浮力に耐えられる、巨大なアンカーを130本も地盤に打ち込む工事を完了させました。
これにより、現在は今の所は、地下水の浮力を抑制している状態なのです。
地震などの震災時の影響
驚いたことに、この増加傾向にある地下水が、予想されている東京の大地震に実際どのように影響するのか、まだはっきりわかっていないらしいのです。
恐らく、地下鉄のトンネルの外では、多くの地下水脈が通っていることでしょう。
東北大震災に時には、東京の地下鉄で、一部に水が湧いたことを記憶していますが、大地震が起きた際には、いろいろな所で、悪影響を及ぼすかもしれません。
地震の影響では、今後の研究に期待したいと思います。
まとめ
大規模な工事と対策が施されている割には、東京の地下水の現状について、あまり知らないのが一般的だと思います。
東京の地下水に、さらに興味がある方は、ネットで各管轄省庁などから調査結果がでておりますので、そちらを見てみるのも良いかと思います。
環境省 地下水や、国土交通省 地下水などのキーワードで見ることができます。
こちらも、ぜひじっくりと目を通してみても、よいかもしれません。
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