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車のタイヤに窒素ガス 効果がないと思う 科学的理由3つ

皆さんは、車のタイヤに窒素ガスを入れると、タイヤの空気が抜けづらいと聞いたことはありませんか。

実際に、カーディーラーやカー用品店では窒素ガスを入れることがオプションとなっていて、追加で幾らかお金が必要だったり、
通常の空気充填よりも良い効果が多いように宣伝されていたりします。

私個人的には、この車のタイヤへの窒素ガス充填については、真偽は判りませんが、とぉ~っても怪しい眉唾物ではないかと思っていました。

なぜなら、空気の構成要素の80%は窒素だからです。空気を入れてもほとんど窒素なので変わりないと思うのです。
(確か小学校か中学校程度で習った気が。。。)

空気を充填するのとそんなに違いが出るものなのでしょうか?
少し化学や物理をかじった事のある人なら、だれでもこの疑問を持つと思います。

この窒素ガスの効用について、なるべく科学的に調べてみたので個人的な意見として、まとめてみたいと思います。


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窒素ガスが望ましいとされる理由

まずはネットを参考にして窒素ガスがタイヤに良いとされている理由を見てみました。
ネットに挙がっている情報をまとめると、大体以下の3点のようになりました。

  1. 窒素分子がタイヤの分子より大きいため酸素より抜けずらい
  2. 酸素はゴムを酸化させ、ゴムと結合して水となり腐食を早める
  3. 窒素ガスを充填すると乗り心地がマイルドになる

この上記の3点について、順番に考えていきたいと思います。

 

1.窒素分子がゴムの分子より小さいため、酸素分子より抜けづらい?

この分野については、高圧ガスを扱うようなプラントエンジニアリングや機械の分野ではすでに確立された理論があるようです。

高圧ガスを扱う分野ではタイヤ内の空気の圧力とは比べ物にならない圧力を扱います。
例えば高圧の気体を密閉するようなフタを考えた時に、密閉するの必要なゴムパッキンやシールは欠かせません。
しかし、そのパッキンが想像以上にタンク内の気体を漏らしてしまうようでは使い物になりません。
そのようなことになっては大爆発の原因にもなりかねないのです。そういった意味で気体のゴムへの透過は科学されています。

よくネットで書かれているのは分子の大きさが窒素の方が大きい為抜けずらいというものでした。

この分子の大きさによる気体の漏れは、大きなくくりでは”有孔リーク”と呼ばれるものです。
確かに気体の漏れ(リーク)を考える時には、分子の大きさは大切な要素の一つです。
ですが、窒素と酸素にそこまでの差があるのでしょうか?

分子の大きさは、現代の科学では下の表のようになると確認されています。

 

日本興業出版掲載 論文より引用

ここで何に着目すればよいかというと、一番右の動的分子径になります。
この動的分子径が大きいほど気体が漏れずらく、小さいほど気体が漏れやすいということになります。

一番小さいのはHe(ヘリウム)で、次に小さいH2(水素)は0.28で、密閉するのが難しく現代のプラントエンジニアリングや水素電池開発の際の大きな課題になっているようです。
しかしながら、N2(窒素)0.364O2(酸素)0.346は比較的大きいため気体の密閉技術的には比較的容易と考えられています。

という事で、この窒素の方が分子の大きさが大きい為抜けずらいというのは、大げさな表現だと考えてます。

上記の理由から、窒素だからとか空気だからという事では、抜けやすさにほぼ差はないと考えられます。

少なくとも人が感じるほどの差は無く、精密な計測器でなら若干差がある程度と思います。

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2.酸素はゴムを酸化させ、結合して水となり腐食を早める?

酸素が天然ゴムを加速的に劣化するのは紛れもない事実です。古くから知られている常識です!

輪ゴムを放置しておくと次第に弾性が無くなって、すぐに切れてしまうのは誰でも知っていると思います。

この酸化を加速的に早めるには、酸素以外にも、熱と光があります。
熱と光が酸化や劣化を加速的には早めるのです。

確かに酸素があることで、劣化が促進されH2Oも発生し得ると思います。

しかし、よく考えてみてください。

タイヤの外側は熱と光と酸素の3つに常にさらされていると思いませんか?
タイヤの内側は光がないだけまだマシだと思いませんか?

タイヤの空気を窒素に変えても、タイヤの外側は常に酸化を促進する三要因に常にさらされることになります。

私が思うに、天然ゴムの場合は酸素ですぐに劣化したり、H2Oが発生したりする場合もあるでしょう。
しかし、現代の車のタイヤ(メーカーでも適切に保管すれば3年は新品と同等のゴム性能を発揮すると言われている)が、天然ゴムだけで出来ているとは思えません。

実際に車のタイヤには老化防止剤が使用されています。
さらに、タイヤ内には酸素を遮断するフィルムが施工されているようです。
なので、酸素による酸化という点では、窒素にこだわる必要はそれほど無いと思うのです。

 

タイヤを使用していると、タイヤの側面が茶色になってくる場合があります。
以外に知られていませんが、これはタイヤの老化防止剤です。
タイヤの表面を守るために浮き出てくるような仕組みになっており、これを知らずに拭き落としたりしてしまうとタイヤがヒビ割れるのを早める結果になってしまいます。

水分という点では、違う意味で窒素の方が優秀です。
実は窒素は生成過程で水分が少なくなるような生成工程によって作成されます。
そのため、窒素の方が湿度が小さく、明らかに空気より水分が少ないのです。
湿った空気の環境で、タイヤに空気を挿入するとタイヤに湿った空気が入ってしまい、中で結露する場合があるのです。
その空気がホイールを腐食してしまう可能性はあります。

しかしながら、そのホイールですら防錆用に塗装してあるのでそこまで気にしなくても良いと個人的には思います。
町で車を見た時に、常に雨風にさらされているホイールの外側が錆びている車を見た事はないですよね。

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3.窒素ガスをタイヤに充填すると乗り心地がマイルドになる?

これは完全なるプラシーボ効果だと思います。

調べられるだけの物を調べましたが、窒素と空気の間に明確な弾性の違いが発生する理論は見つけることができませんでした。

航空機やレーシングマシンのタイヤに窒素を入れているという話を聞いて、そんな感じの乗り心地に感じてしまったのではないでしょうか。

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まとめ

航空機のタイヤやレーシングマシンのタイヤに窒素を充填してあるのは、以下のような理由からです。
・窒素が製造過程で湿度が低い状態であり、結露が発生しづらく内部を痛めづらい。
・窒素100%では、酸素や水素が含まれていないため高温火災による爆発の心配がない。(航空機燃料は高温のため酸素や水素は爆発する原因になる。)

こういった特殊な環境で窒素が使われているため、車のタイヤでも使ってみようという事になったのではないでしょうか。

しかし、一般のお車のタイヤで使用する分には上記のように通常の空気で十分であると思います。
そもそも、一般の車のタイヤは空気を使用することを念頭に設計されており、劣化に対する耐久性も空気を充填されたことを前提に計算されていると思います。
車のタイヤには空気充填不足によるタイヤのたわみが発生することが一番のトラブルの原因です。
窒素を充填し、空気圧が抜けないと思いこみ、空気圧をチェックしないよりも、通常の空気を充填して細目にタイヤの空気圧をチェックする方がよほどタイヤを長持ちさせると思います。
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